マスタークラス 公開レッスン & 第87回話音倶楽部

2018年10月6日(土)


2018年10月6日(土) 午後0時~公開レッスン 午後3時~話音倶楽部コンサート 午後5時~懇親会

【出 演】
公開レッスン:ゲルトルート・ヴァイホーフェン(マンドリン)
話音倶楽部コンサート:ゲルトルート・ヴァイホーフェン(マンドリン)、永井千恵(ソプラノ)、伊藤彩子(ピアノ)

今回の話音倶楽部はドイツからゲルトルート・ヴァイホーフェンさんをゲストに迎え、マスタークラス公開レッスンとコンサートの2本立てとなりました。
ドイツの音大でプロが実際に行っているようなマスタークラスが、この高円寺で聴けるなんて素晴らしい!
もちろんコンサートも楽しみですが、公開レッスンは独特の魅力がありますよね。ふだん聴いているコンサートやCDという「完成品」が、
そこに至るまでにどんな試行錯誤を経てきたのか、手品の種明かしのような、魔法の裏側を少しだけ覗き見るような感覚。

レッスンの一人目は間宮匠さん。数あるコンクールで優勝経験もあり、すでにプロ奏者として活躍されています。
課題曲はバッハの「無伴奏ヴァイオリン・パルティータ3番」のガボット。リズムや曲の背景など音楽的なアドバイスはもちろんのこと、ピックの持ち方についてとても時間を割いてお話していたのが印象的でした。「深く、短く持ってコントールする」ことで音色に幅が出るとのこと。もともと浅くピックを持つスタイルだった間宮さんの演奏がみるみる変わっていく様子が驚きでした。

二人目はドイツにも留学経験があり、その活躍ぶりはみなさんがよく知るところの児嶋絢子さん。
課題として持ってきた曲はサンスの「スペイン組曲」。児嶋さんの華やかな演奏を聴いたゲルトルートさん、「テクニック、表現力も申し分ない素晴らしい演奏」と絶賛。「ただし…、私がこの曲を知らず楽譜も見たことがなかったらの話です」と続けます。「これはスペインの舞曲で、そのように弾くべきではありません」と作曲者の意図を汲み取った表現のお話してくださいました。よい演奏をするだけで終わりではない、そのような厳しさを感じました。

最後はテスタカルドでも活躍する島周作さん。参加者の中で唯一のアマチュアですが、確かな技術で難曲も楽々弾きこなす腕前です。
今回は、苦手とされているバロック曲、サウリのパルティータでのレッスン挑戦となりました。とても快活で清々しい演奏でしたが、ゲルトルートさんは「アルマンドはもっと目の前の人に話しかけるように弾かなければならないです」と、ドイツ語でお客さんに歌い掛けながら自らのマンドリンでフレーズを演奏してくださいました。スケールのような音符の並びが、まるで喋っているように響いていました。

このようなマスタークラスは、他の楽器では当たり前のように開かれていますが、マンドリンではまだまだ数は少ないように思えます。
「誰かのレッスンを聴く」ということが、演奏会に行くことと同じくらい一般的になったらいいですよね。

  

ちょっと休憩を挟んで、そのまま演奏会になりました。
ゲルトルートさんに、ソプラノの永井千恵さん、ピアノの伊藤彩子さんを加えたトリオでの演奏です。3人はドイツのカッセル市で出会ったそうで、日本での演奏は今回が初となります。

ドイツでも歌・ピアノ・マンドリンの編成は珍しいようですが、そもそもモーツァルトのオペラの時代から歌にマンドリン伴奏があったのですから、この組み合わせの相性が悪いわけありませんよね。

「演奏がはじまったら、お客さんが一斉にマンドリンの方を向くので、ソプラノとしては複雑な心境です(笑)」と永井さん。
マスタークラスでの流れがあったので、みなさんゲルトルートさんの演奏に興味深々だったみたいです。それもつかの間、ドイツリートの響きにすぐにみなさん夢中になった様子でした。

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今回のプログラムは、すべての歌曲の歌詞をのせた冊子バージョンになっていたので、歌の意味を感じながら聴くことができました。
どの歌も恋や愛について歌った内容が多く、300年前の人たちも現代の人間と同じことで悩んでこんな美しいメロディで歌っていたのだなと想像が膨らみました。

ピアノの伊藤さんはクラシックはもちろんのことジャズやミュージカルでも活躍されているということで、演奏されたベア=デモンデーの「タンゴ地中海」は本日もっとも盛り上がった一曲になりました。演奏会が終わったとたん「その曲はどこで楽譜が手に入るんですか?」と問い合わせがあったほど。現代タンゴということでピアソラのような雰囲気もあるのですが、初めて聴くそのメロディはとても新鮮で、自分で弾いてみたくなる気持ちもよくわかります。

ワインタイムの後の1曲目「ヴォカリーズ」はゲルトルートさん、ソプラノの永井千恵さん、ピアノの伊藤彩子さんの3人のアンサンブルのためにA.ブレーダー氏が作曲されたもので、それぞれの卓越した音楽が素晴らしく小さな空間を聴くもの演奏する人を一つにしてくれました。

ブラボー!!

次に演奏されたのはゲルトルートさんのマンドリンと永井千恵さんのソプラノのために作曲された「組曲 Haiku」です。
作曲者の小林由直先生ご本人の前で演奏されました。。
「Haiku」は文字通り俳句の意で「鶯に、手もと休めむながしもと」と日本語で歌った後、マンドリンが同じトーンでメロディを続けるという構成でした。日本語の俳句のリズムと西洋音楽のリズムが交錯する不思議な感覚でしたが、自然に心に響いてきて聴いてる我々を俳句の世界へ導いてくれました。日本語の美しさを改めて知りました。

どの曲も演奏者の卓越した技術のもと3人の人柄、音楽性がにじみ出ていて我々聴いているものを夢の世界に連れて行っていただいた2時間でした。

 

ゲルトルートさんのマンドリンからは美しいことは勿論、温かい心も伝わってきました。

永井千恵さんの心地よい声の響きに感動し、伊藤綾子さんは思いっきり研究所のピアノの良さをひき出してくださいました。

ありがとうございました。

 

本日のお客さまにはマンドリニストの柴田高明さんがいらっしゃっていたのですが、演奏会の終了後に「もっと日本でこういう室内楽をやる機会を増やさなアカンな」とおっしゃっていました。
我々スタッフ一同も同じ思いをもってこの活動を続けておりますので、ひとりでも多くの方にこの話音倶楽部にお越しいただけたら嬉しく思います。     (石田政章 記)

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●プログラム (話音倶楽部コンサート)● -------------------------------------------------------------------------------------------

ピアノ、声楽、マンドリンという世にも珍しいアンサンブルで繰り広げられる音楽の世界。
今までなかったからこその新たな響きの発見、次々と生まれる多彩な音の芸術は、言わば万華鏡ならぬ万華響。
「童謡メドレー」と 組曲「Haiku」は日本とドイツの音楽的な背景を繋ぎ、小品ながらも、その細やかなマンドリン歌曲とピアノ歌曲の中に、モーツァルトの劇作家としての一面を聴く。またロマン派の作曲家E.グリークの叙情的な歌曲は、自然描写と神秘的な世界を結びつける。
アンドレ・プレヴィンの「Two Remembrances」では、内向的な世界を3つの楽器が語るように描写していく。それとは対照的に V. ベア=デモンデーの情熱的で魅惑的なTangoが響く。
加えて、ドビュッシー、フォーレ他の作曲家の作品が万華響の世界へと誘う。

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●プロフィール● -------------------------------------------------------------------------------------------

Gertrud Weyhofen ゲルトルート・ヴァイホーフェン(マンドリン)

ソリストとして、またアンサンブルの一員として、韓国、日本、アメリカ(カーネギーホール)、オランダ、スペイン、フランスでも演奏活動を行うなど、国際的に活躍するマンドリニスト。
R.Calace作品や中野二郎作品の世界初録音、またH.Baumann、D.Scarlatti、M.Strauß等の作曲家のポートレートを含む彼女のCD録音の数々は、高い芸術性の上に生き生きとした独自性を具現化している。
カッセル市立音楽院、州立カッセル大学や数多くのマスターコースでの教授活動の傍ら、教材や楽譜の編纂も手掛ける。演奏者としては、ナポリ型、クレモナ型、ミラノ型といった様々な歴史的マンドリンやバロック・マンドリン演奏のスペシャリストでもある。
マスターコースの講師やコンクール等の審査員として、またマンドリンやオルフ楽器を用いた幼児期器楽教育や様々な教育プロジェクトにおいて後進の指導に尽力している。91年よりカッセル市立音楽院マンドリン講師、また2014年からは同、基礎音楽教育(EMP)科においても講師を勤める。

永井千恵 (ソプラノ)

千葉県匝瑳市出身。
幼少より歌うことが好きで、4歳よりピアノを習い始め、10歳より八日市場市立中央小学校竹の子オーケストラにてオーボエを始め、中学時代には県のコンテストで第1位を獲得、市立銚子高等学校吹奏楽部にて更に音楽に情熱を傾ける。
17歳より本格的に声楽を志し、武蔵野音楽大学、同大学院を優秀な成績で修了。数々のプロジェクトにソリストとして参加。在学中よりドイツリートへの愛を深め、本郷学園中学高等学校音楽非常勤講師を経て、2008年に渡独。フランクフルト音楽大学教育声楽科及び基礎音楽教育(EMP)科を卒業し、カッセル市立音楽アカデミーにてソロ科を最優秀で修了する。
Christian Wolff、Charlotte Saitherといった作曲家と共演、新進気鋭の作曲家の作品の初演など、現代音楽の分野で意欲的に活動し、即興音楽家としても演奏活動を行っている。一方で、Ruggiero Fedeli 作曲のバロックオペラ「アルミーラ」の初演にてタイトルロールのアルミーラを務めるなど、レパートリーは幅広い。声楽はもちろんのこと幼児教育等、後進の育成にも力を入れる。
これまでに、声楽を高木智子、浅田啓子、菊池初美、佐々木典子、梶山明美、Monika Lenz、Prof. Claudia Kunz-Eisenlohr、Franziska Hackel、Ruth Altrockに、リート表現法を子安ゆかりに師事。マスターコースではKerstin Meyer、Hubert MeyerまたEnsemble für Intuitive Musik Weimarのもとで研鑽を積む。

伊藤彩子 (ピアノ)

鳥取市出身。
5歳よりピアノを始める。JPTAピアノオーディション奨励賞受賞や、スズキメソードオーケストラとモーツァルトのピアノ協奏曲 (KV 537) を共演するなど幼少期より演奏経験を積む。武蔵野音楽大学器楽学科ピアノ科卒業後、渡独。フランクフルト音楽大学音楽教育ピアノ科を卒業し、カッセル市立音楽アカデミーにてソロ科、室内楽科を最優秀で卒業する。
現在ドイツに在住し、特にリート伴奏を中心に室内楽での演奏活動を精力的に行っている。後進の指導にも力を入れており、生徒の中にはドイツ国内のコンクールでの受賞者もいる。演奏範囲はクラシックにとどまらず、タンゴ、ミュージカル、ジャズの分野でも演奏の幅を広げている。ロックバンド『スコーピオンズ』の元ギタリスト ウリ・ジョン・ロートとの共演(Rock Requiem)や、タンゴのバンドネオニスト ホアキン・アメナバーとのタンゴアンサンブル(CAS-tango)でも好評を博している。
これまでに、井上恭子、港明美、永木早知、ジャンクリストフ・シュヴェアテック、ヨアヒム・キルシュナー等に師事し、マスターコースでは、ニキタ・ユジャニン、トミスラフ・バイノフ等の元で研鑽を積んでいる。

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マンドリンの名手 ゲルトルート・ヴァイホーフェンさんが話音倶楽部に初登場です!!
話音倶楽部コンサートの前には マスタークラス公開レッスンも開催します。こちらの受講生、聴講も絶賛 受付中です。
コンサートではマンドリンとソプラノとピアノのアンサンブルで織りなす新たな世界をお楽しみください。

★公開レッスン受講者 募集中です!★
 受講者募集は締め切りました

日 時:
2018年10月6日(土)
午後0~2時  公開レッスン < 受講者:間宮匠、児嶋絢子、島周作 > ※受講者募集は締め切りました
午後3~5時  話音倶楽部コンサート
午後5~6時  懇親会

出 演:
【公開レッスン】
ゲルトルート・ヴァイホーフェン(マンドリン)
【話音倶楽部コンサート】
ゲルトルート・ヴァイホーフェン(マンドリン)
永井千恵(ソプラノ)
伊藤彩子(ピアノ)

会 費: *予約制 (先着25名様)
■ 公開レッスン受講:学生3000円/一般7000円(コンサート鑑賞含む)
■ 公開レッスン聴講&話音倶楽部コンサート 通し券:学生2500円/一般4000円
■ 公開レッスン聴講のみ:学生500円/一般1000円
■ 話音倶楽部コンサートのみ(飲物付):学生2000円/一般3000円