第85回話音倶楽部

2018年3月3日(土)


2018年3月3日(日) 午後4時開演 
 
【出 演】
√Savaket(るーと・さばけっと)
 ・・・ 鈴木遥太郎 ...マンドリン、作曲、etc…
  & 中﨑智大 ...ギター、バイオリン、作曲、etc…

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今回のゲストはマンドリン・ギターのデュオ、√Savaket(るーと・さばけっと)さんのお二人です。マンドリンの鈴木遥太郎さん、ギターの中﨑智大さん、どちらもイラストを描いたり作曲をされたり、とても多才な20代のミュージシャンです。お二人ともお若いせいもあり、本日のお客様の年齢層も20代が中心で、いつもに増して会場の熱気が充満していました。

お二人とも開演前になっても楽屋にさがらず、いらっしゃったお客さんとコミュニケーションをとりながらオカリナで即興演奏をして「ウェルカムドリンクじゃなくてウェルカム演奏です」と、お客さんを楽しませながらそのまま最初の曲「ひとこまSZK前奏曲第二番ト長調」に突入しました。
軽い足取りでヨーロッパの街並みを散歩するような、オープニングにピッタリの曲で演奏会がスタートしました。

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次の曲は「miminy-piminy’CROWN’」。
「miminy-piminy」とは「気取った」とか「わがままな」という意味。ある国のワガママな女王様が、家来から恐れられながらも「CROWN(ピエロ)」とあだ名をつけられて嘲笑されている様子をイメージして作曲したとのこと。お二人の曲はどれも、このように物語をもとに作っていくそうです。そんなお話をされたあと聴くと、ちょっとジャズっぽいフレーズが気まぐれな女王のワガママに聴こえますね。

そして「SICILIANA STORIA」、「Trip to Cityscape」と2曲続けての演奏。
前者はお馴染みのシチリアーナのメロディをお二人の解釈でアレンジした穏やかな曲、後者は「見慣れた街に楽器を持って旅に出る」というタイトルの通り、ロードムービーのBGMのようなアップビードでワクワクするような曲でした。
ちなみに、先ほどの「miminy-piminy’CROWN’」と「Trip to Cityscape」は先日、白寿ホールで開催された「イグチ絃楽器20周年記念『夢と希望 』コンサート」でも演奏された曲で、そのサウンドトラックにも収録されています。√Savaketさんの曲は、あまり楽譜は出版されていないそうですが、この2曲はスコアが購入できるそうなので、ご興味のあるかたは是非手に入れてはいかがでしょうか。

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お二人は√Savaketとしての活動の他に「合奏団リリカ」というマンドリンアンサンブルも主催されているそうです。毎回、演奏会(合奏団リリカでは演奏会のことを『一揆』と呼ぶそうです!)の際にテーマとなるストーリー、キャラクター含めた物語を作り上げて、その朗読に合わせてマンドリン合奏でBGMを付けていく音楽物語スタイルをとっているとのこと。次の曲はそんな物語のひとつ「グレン・グルーの地下水路街」からの一曲で「流されて、あとさき」です。
地上で暮らす裕福な商人の娘であるマルタが、ふとしたことから地下水路に流され、その先でクリスに出会い、不思議な体験をしていく…そんな物語の曲、そこでマルタが流されながら歌うアリアがこの曲なのですが、ゆったりゆったり流れていくようなメロディで、これから起こる不思議な出来事を暗示するような、どこかワクワクするような一曲でした。

次も同じ物語の中から「さて、こちらのカニはどこのカニ?」という一曲。
地下水路街でクリスに料理をご馳走になる場面での曲ということで、コミカルで、キューピー3分間クッキングのテーマを思わせるような曲?でした。

続いてはある有名な曲のパロディ「虫よ、アリとバッタの喜びよ!」です。
もとの曲は言わなくてももうみなさんお分りですよね?原曲をベースにマンドリンのアリアを加えたような曲で、まるでもともとそんなメロディがあったかのようでした。

1部最後の曲は「おばけのロンド」。
√Savaketのメインキャラクター「おばけくん」のテーマソングで通称「ばけロン」、ファーストアルバムで発表された、お二人の曲の中でも1番人気とのこと。覚えやすいメロディーに早いテンポ、途中、おばけが消えたり現れたりするようなコミカルなシーケンスが入ったり、とにかくバラエティー豊かな曲でした。なるほど1番人気というのも頷けますね。

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ここで、お二人のコンビ名「√Savaket(るーとさばけっと)」の由来について。
マンドリンの鈴木さんは、レッスンの場を和ませる為に、いつも楽譜に「サバ」のイラストを描いていたそうです。そしてギターの中﨑さんも、ノートに「おばけ」のイラストを描いていたそうで、その「さば」と「おばけ」を合わせて「さばけっと」という名前になったとか。頭のルートは「何となくカッコいいとおもって(笑)」つけたそうです。ちなみに、イラストのさばはいつも泣いていますが、それは鈴木さんの師匠である柴田高明さん(話音倶楽部のゲストで何度か演奏して頂いています!)のレッスンがあまりにも厳しくて、泣きながら練習していたことがモチーフになっているそうです(笑)。

さて、2部の1曲目は「ひまわり賛歌」。
これはお二人が結成前に作った「夏の曲」だそうで、春夏秋冬のシリーズで全部で4曲あるそうです。盛夏というより夏の終わりを思わせるような懐かしい曲でした。ちなみに鈴木さんは冬の「雪だるま賛歌」が一番好きだそうですが、まだ一度も披露したひいたことなないとのこと。いつか話音倶楽部で演奏してくださいね。

つぎは「コンフォート・タグボート」、「Mayim Mayim in the Woods」のジャズ風の2曲。
どちらも初演とのこと。ここからは演を中心とした演奏が続きます。

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ここで、ゲストがもう一人、ボーカルの「花井さやか」さんの登場です。
合奏団リリカでもボーカルを担当をされているとのこと。突然のゲストの登場でお客さんもビックリ。
次の曲はボーカルを迎えての「心まかせなバルカロール」。
「雨降る街の人気ない道で…」のフレーズを花井さんが歌いだすと、そのささやくような透明感のある歌声に、みなさんグッと引き込まれたようでした。

次の曲は「UPSIDE-DOWN-STREET」。
泥棒を追う警察官が、いつの間にか、追う追われるの立場が逆転してしまうコミカルな感じを歌った曲。歌詞の内容というよりは、韻やリズムを中心ににしたアップビードな歌でした。途中で入る「クマンバチの飛行」のメロディーも楽しげです。

そして、しんしんと降り積もった雪を踏みしめるような「Footprints in the Fresh Snow」、日本風のメロディが特徴的な「海とお月見」へと続きます。
どちらも、落ち着いたゆったりとした曲調が、鈴木さんの綺麗なトレモロとよく合っていました。

今度は鈴木さんもボーカルに加わり「テラリウムとロケット」を演奏。
「テラリウム」とはアクアリム(水槽)の進化系で、水槽の中で生態系が完成する、餌をまったくやらなくてもよいシステムのこと。鈴木さんは宇宙旅行が夢だそうで、ロケットのような閉ざされた環境でも、テラリウムのようなものが作れれば、ずっと過ごせるだろうなあということを思い描いて曲を書いたそうです。ボサノバ調の雰囲気に鈴木さんの弾き語り、花井さんのコーラスが加わり、マンドリンの新しいスタイルが開けるような曲でした。もっとこういうスタイルの曲ができれば素敵ですね。

そして、またメインボーカルを花井さんに戻して「場当たりロマンチスト」。
「不思議なことばかりな…」で始まるアップテンポなサビのメロディがとても覚えやすく、3人の雰囲気にぴったりで、このユニットのテーマソングのようでした。

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最後は今回の新作アルバムの表題作でもある「13月の遊覧飛行」です。
もう一度、マンドリンとギターのデュオに戻っての演奏。ギターの聞きどころも多く、マンドリンの緩やかなトレモロは、大きな大きな景色が広がる空中を、心地よい風のなかでゆったりを進んでいくようなグライダーが思い浮かぶような演奏でした。

いっぱいの拍手の中でのアンコール曲。
今日の曲はどの曲も聴きやすい曲ばかりでしたが、「とりわけ口当たりのよい曲を(鈴木さん)」とのことで1stアルバムから「ひとこまSZK前奏曲」を。リズミカルに散歩をしているかのような雰囲気で始まったかと思いきや、後半ぐっと激しくカッコよく変化する曲調が、今日のエンディングにぴったりでした。

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新しいことにどんどん挑戦する√Savaketさん、これからもスタッフ一同応援しております。   (石田政章 記)
 
 

 
●プログラム● -------------------------------------------

 ・虫よ、アリとバッタの喜びよ!
 ・水平線の夢
 ・Mayim Mayim in the Woods
 ・Footprints in the Fresh Snow

ほか、書き下ろしの新曲(CD先行販売あり!)

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鈴木遥太郎    中﨑智大 
 
 
●プロフィール● ---------------------------------------------------------------------------------------------
 
√Savaket(るーと・さばけっと)
 
「2人なのに、賑やか。キュートな響きだけど、ちょっぴりせつない。」マンドリン&ギターをルーツとするポップデュオ。
通称るさば。
マスコットである “ しめさばくん ” と “ おばけくん ” の暮らす「おとぎ話の世界」を物語ることをテーマに、
ジャンルは問わず「わくわくする音楽」を発信している。
2013年10月結成。
2014年7月に1stアルバム『Savaket,Basket?』をリリース。以降録音作品の発表を主体とした活動を続けている。

さばばけ工房の職人たち
鈴木遥太郎 ...マンドリン、作曲、etc…
中﨑智大 ...ギター、バイオリン、作曲、etc…

ディスコグラフィ
2014年 7月 るさば劇場 第1話《Savaket, Basket?》
2015年 5月 るさば劇場 第2話《SAVAKET, TOYBOX!》
2015年 8月 るさば劇場 第3話《ひみつきち奪還作戦!》
2015年12月 mini album《Savaket, Xmas 2015》
2016年 4月 mini album《帽子職人の朝は遅い。》
2016年 7月 るさば劇場 第4話《デイドリーム/ナイトラッチ》
2017年 4月 mini album《第7番トンネルから》
2017年 8月 album《Trip to Cityscape - 絃楽器のイグチ20周年記念「夢と希望」サウンドトラック- 》

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「2人なのに、賑やか。キュートな響きだけど、ちょっぴりせつない。」
マンドリン&ギターをルーツとするポップデュオ √Savaket(るーと・さばけっと)
鈴木遥太郎さん、中﨑智大さんのお二人が、話音倶楽部に登場です!