第83回話音倶楽部

2017年11月11日(土)


2017年11月11日(土) 午後4時開演 
 
【出 演】
常味裕司(ウード) 

第83回話音倶楽部はウードの常味裕司先生をゲストにお迎え致しました。

マンドリンの始まりでもあるウード。マンドリンと深いつながりのある「ウード」の生演奏をこんなに間近で聴くのは初めてで、
音が鳴った瞬間『どんな音楽会になるだろう』と、とてもワクワクした気持ちになりました。

トルコの曲で幕を開けです。
ゆっくりとした5拍子から始まり徐々に激しさを増していくメロディにすぐに引き込まれました。

☆☆☆★★☆☆★  

全部の曲間に常味先生がウードについてのお話を、ウード独特の音階(マカームというそうです)のプリントや地図をもとにして下さいました。
ペルシャに存在した「バルバット」という楽器が始まりなのだそうです。
アラブ広範囲にわたる楽器で(20ヶ国くらいある)どこの国のもの!と言うのがとても難しいそうです。(ちなみにシルクロードを渡り琵琶になりました。)

2曲目はチュニジアの7世紀頃の音楽。なんと10拍子!!
先生が弾いている楽器を見せてくれました。(写真を見ると良くわかります)
楽器に穴が3つあり、その穴には意味があります。大きい穴は「太陽」小さい二つの穴は「月」なのだそうです。そういった意味合いも神秘的です。楽器の重さ自体は約1000グラムだそうです。

3曲目はとても古いイラクの曲で「光り輝くメディナ」というタイトル。
独特の音程で、ド~レを9分割した微分音が心地よく鳴り響きました。マンドリンやリュートに見た目は似ていますが、フレットは無く、かなり細かい微妙な音が沢山存在し、それらの響きがアラブの深く重く心に響く音楽につながっているのだと感じました。
小休止でお客さまと一緒にマカームをつかった「かえるの歌」を歌いました。う〜ん、不思議!でも心地よい音程!!
一部最後はシリア、アレッポの古典音楽で締めくくられました。

  ◆◇◆ 

ワイン休憩を挟んで二部です。
曲に入る前にウード以外の楽器、ナイ(葦製の笛。縦笛でも横笛でもなく、斜めに構えて吹く)、タブラ(太鼓の一種)、リク(タンバリン)、ダルブッカ(ゴブレット型の片面太鼓でもう片面は空洞)などの紹介がありました。

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6曲目はエジプトの曲を2曲続けて。(プログラムの二曲目に記載されている曲です。)
少し日本の古賀メロディを思い出させるような懐かしい気持ちになる曲調でした。
次のエジプトの曲は「私の人生におこった全てのこと」というタイトルで、楽曲のタイトルなの?とも思いましたが、聴けばその理由が分かります。とても綺麗な流れるようなメロディ。その中に哀愁•悲しみ•激しさ•懐かしさなど色々な感情が織り混ざっているように心に訴えてきました。

最後はチュニジアの曲「ジプシーの香り」で幕を閉じました。

☆☆☆★★☆☆★  ☆★☆ 

全曲暗譜で弾かれていたのが印象的で、全曲暗譜しているのですか?と質問したところ、主なメロディは暗譜していてあとは即興的な演奏なのだそうです。チュニジアに渡り長年現地で勉強されていたからこその感覚なのだろうと思いました。
アラブ音楽の深い愛情や哀愁の一遍を感じることのできた大変貴重な時間となりました。   (児嶋絢子 記)
   

☆☆☆☆☆ 

★★ 
 
 
●プログラム● -------------------------------------------------------------------

 
 
 
●プロフィール● ---------------------------------------------------------------
 
 常味 裕司   ウード
 
1960年、東京生まれ。日本では数少ないウード奏者。
民族音楽センター(若林忠宏氏主宰)在籍中、アラブ音楽に出会う。
スーダンのウード奏者ハムザ・エル=ディン氏(2006年5月没)のもとで演奏法を学び、
89年よりチュニジアへ渡りアラブ世界を代表するウード奏者、アリ・スリティ氏(チュニス国立音楽院ウード科教授、2007年4月没)に師事、本格的にアラブ音楽を学ぶ。
93年のチュニジアでは、チュニス国営TV、メディナフェスティバルにてチュニジアの若手ウード演奏家モハメッド・ズィン・エル・アービディーン氏と共演。またチュニジアより来日した女性楽団『エル・アズィフェット』(アミナ・スラルフィー主宰)との共演や、2006年春エジプト・カイロ オペラハウスにて現地ミュージシャンと共にコンサート開催(国際交流基金主催)、2006年末チュニジア・ドゥースにおける『サハラ・フェスティバル』に参加。2010年レバノン・ベイルートUNESCOパレスにて演奏(パレスチナ子どものキャンペーン主催)。2010年にはシリア・アレッポにて、ウード奏者、ムハンマド・カドリ・ダラル氏に集中指導を受ける。
2011年クゥエート、2012年オマーン、カタール、UAE、2015年モロッコ(名取事務所主催)、2016年スペイン・アンダルシア、での演奏など音楽を通した文化・国際交流も盛んに行っている。
日本においては、アラブ・トルコ古典音楽を中心にソロ活動およびアラブ音楽アンサンブル「ファルハ」や「アラビンディア」を主宰し、様々な演奏家、舞踊家、パフォーマーと共演。2007年(4月~12月)放送のNHKスペシャル[新シルクロード 第2部の音楽、録音にも携わる。
元放送大学非常勤講師。現在洗足学園音楽大学ワールドミュージックコース・ウード科講師
http://www.oud.jp

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リュートや琵琶の近縁な アラブ音楽の楽器 ウード 。
日本では数少ないウード奏者の常味裕司さんを話音倶楽部にお招きします。